ビジョナリーカンパニー ZERO  第1章~第3章

2021年に発行された<ビジョナリーカンパニー ZERO>をご紹介します。

各章に分けて、参考になった文章を紹介していきます。考え方によっては、現実的に難しく感じるところは緑色で突っ込み風に記載しています。

 各章を紹介する前に、この本の背景をご説明します。この本の表紙を剥がした本体には<Boyond Entrepreneurship 2.0>と書かれています。なぜ2.0なのか?

これは1.0が存在していることを意味しております。1992年に<Boyond Entrepreneurship(ビヨンド・アントレプレナーシップ)>という、つまり1.0の本が発行されています。

1.0は世界的な名著であり、その内容に加筆修正したのが今回のビジョナリーカンパニーZEROとなります。ちなみに、1.0にあたる<ビヨンド・アントレプレナーシップ>の日本語訳は発行されていません。

1.0の<ビヨンド・アントレプレナーシップ>は、ネットフリックス共同創業者のリード・ヘイスティングスが何度も読んだと発言しているほど、ビジネスマンにとっては価値のある本となっています。ビジョナリーカンパニーZEROの2/3以上は1.0の内容のままです。1.0のそのままの内と、今回追加された内容が明確に分かる仕様になっています。

 

第1章 ビルと私の物語

この章では、著者のジム・コリンズとビル・ラジアーの出会いが書かれております。二人の関係性に関しては興味深い話しですが、二人の関係性はこの本が伝えたいことのメインメッセージではないため省略します。残念ながら、ビル・ジアラーは2004年に亡くなっているため、ジム・コリンズ目線で書かれた文章になっております。人として大切なことを教えてくれる内容となっています。

 

・相手を信頼する大切さを<上振れ>と<下振れ>を使って説明してくれています。

あなたが誰かを信頼し、相手がその信頼に応えてくれた場合、上振れはとても大きくなる。信頼できる人は、信頼されることによって認められたと感じ、モチベーションを抱く。読みが外れた場合の下振れは、許容できないほどの損失を被らないかぎり、裏切られた痛みと失望を感じるだろう。

逆のケースでは、あなたが誰かを信頼しなかった場合の上振れは、実際に裏切られた場合、痛みと失望は抑えられるだろう。しかし、下振れしたら、相手が優秀な人材ほど意欲を失い去っていく。だから「信頼するほうに掛ける」

この内容を読んで、私は会社のメンバーを信頼だけして行動する強い気持ちが生まれました。私の信頼に対して裏切られることを心配しながら行動することは、信頼に足る人たちを失うリスクが大きいので、それは間違えていることに気づかされました。

少し脱線した話しになりますが、私はアドラー心理学も好きで、そこで出てくる、<無条件に相手を信じる>との言葉を思い出しました。信頼をして裏切るか裏切らないかは、相手の課題であって自分の課題ではない、この考えと掛け合わせて私は相手を信頼する強い決心が生まれました。

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え [ 岸見一郎 ]

とはいえ管理職の立場になると、部下を信頼しきっていても怠惰に過ごす部下が存在するので、完全に信頼することが難しい…

 

第2章 最高の人材がいなければ最高のビジョンに意味はない

この章では、人材の大切さを色々な視点から説明してくれます。良い人材と一緒に仕事をするためには、自分自身が成長すること、自分のキャリアではなく部下を大切にすることを教えてくれます。

 

その中で、人材を「育成」する限界が来た時に、「交代」するべきタイミングも教えてくれます。これに関しては正解はありませんが、「交代」が正解か否かを確認する6つの質問が紹介されてます。端的に記載すると下記になります。

  • その人材を残すことで、他の人材が会社を去りはじめていないか
  • 価値観、意思、能力、どの問題か。価値観が合わないなら交代、意思がないなら交代、能力を身につけようしているなら育成
  • 失敗は自責、成功は他責で考えられているか
  • 仕事を「業務」と見るか、「責任」と見るか
  • ここ1年で、その人材の信頼は高まったか、下がったか
  • バスの問題か、座席の問題か
  • その人材が退社したら、あなたはどう感じるか。

「交代」するべきタイミングを確認する方法として紹介されていますが、常に自分はこれを考動できているか考えさせられます。

 

あらゆる事業活動のなかで正しい人材をバスに乗せること以上に重要なことはない。

最初に誰をバスに乗せるかを決め、それから目的地を決める。

「まず目的を選ぶ」から「まず人を選ぶ」への発想の転換だ。何かを成し遂げること自体にそれほど意味はなく、満足感は長続きしない。たが正しい仲間と協力しながら何かを成し遂げようとする過程には、途方もない満足感がある。

サラリーマンだバスに乗せる人材を自分で決める権限は狭くなりますが、新しい企画などプロジェクトレベルの時には、企画内容より参加メンバーを選ぶことを優先したいと思います。

 

第3章 リーダーシップ・スタイル

企業でのリーダーシップは、2つの要素<機能>と<リーダーシップスタイル>成り立っていることを説明しています。<機能>とは第4章で紹介するビジョンを明確にして実現に向けて取り組みを促すことであり、<リーダーシップスタイル>は下記の7つの要素が必要であることを教えてくれます。

ちなみに下記7つ以外に、一人ひとりのリーダーに固有の要素も必要である、つまりリーダー自身の個性を活かして良いことを教えてくれます。

  1. 誠実さ:信念を伝える。最高のロールモデルになる。言行一致。
  2. 決断力:直感に従う。判断は「誤る」ほうが「しない」よりましなことが多い。
  3. 集中力:仕事ではなく時間を管理する。
  4. 人間味:近づきやすく、話しかけやすい存在であれ。細部のへのこだわりを象徴する行為によって価値観が浸透させる。
  5. 対人スキル:もっとも活用されていないものがポジティブなフィードバックだ。
  6. コミュニケーション能力:ビジョンと戦略を伝える。
  7. 常に前進する姿勢:勤勉さ。日々向上する。常にエネルギッシュで。楽観主義と粘り強さ。

上記の詳細が説明されているなかで、私の学びに至った文章は下記があります。

 

決断力

集団で決定する際に、必要なのは、会社を成功させたいという一途な思いから意見を述べ、議論に参加する者、自分のためだけではなく組織やその理念のために最善の判断を導きだそうとする者だ。自分の主張が通ってチームが負けることより、自分の主張が負けてもチームが勝つことを望む者、意見だけではなくファクトやエビデンスを持って対話に参加する者だ。自分が反対した決定であっても、その成功に全力を傾ける責任を受け入れる者、決定を受け入れがたいと思うならば、自らバスを降りる責任を引き受けられる者だ。

 

集中力

やるべきことをすべてやるのに十分な時間がない、と感じたことがないだろうか。ここではっきり言ってこう。やるべきことをすべてやるのに十分な時間がある人は一人もいない。私たちはこれからもずっと、日々のやりかけの仕事を抱えたまま床に就くのだ。

 

対人スキル

相手を批判してはならない。批判ではなく「何が起きたのか分析する」「おまえは片づけられない子だ」と𠮟るのではなく「クローゼットが片づいていない」という問題を解決する。経営者の仕事でも同じことが言える。相手には問題がどう見えているのかを尋ねる。まず具体的に何が起きたかを語ってもらう。それから他にどのような選択肢を検討したかを尋ね、さらに私から他の選択肢を示し、それも検討したかを確認する。提案を質問のかたちで示すのだ優れたリーダーは高いパフォーマンスを「要求」しない。優れたリーダーは社員に、能力を試し、成長し、ベストを尽くす機会を与える。

 

コミュニケーション能力

アナロジーとイメージを活用する無機質なコミュニケーションに人間味を加えるあなた自身をさらけ出す素直に、自分らしく、気取らないかたちで伝える。「一般的に」といった顔の見えない誰かではなく、「私たち」「あなた」「私」を主語に語ろう

 

また、リーダーシップの定義も学びになりました。

真のリーダーシップ

従わない自由があるにもかかわらず、人々が付いてくることだ。

リーダーシップの定義とは、部下にやならければいけないことをやりたいと思わせる技術

この定義に重要な点が3つ

  1. やらなければならないことを見きわめるのはリーダーの役目
  2. 重要なのはやらなければいけないことをやらせるのではなく、やりたいと思わせること
  3. リーダーシップとは「サイエンス(論理)」ではなく「アート(技能)」

以上です。

理論は分かっても、実際部下のモチベーションによってこれが難しいんだよな。ってそう考える私がまだ成長していない証拠ですね。

 

4章以降は別のブログで紹介します。