第4章 ビジョン Vision
企業がビジョンを設定することの大切さを伝えるだけでなく、ビジョンの作り方を教えてくれます。世界的に偉大な企業の事例も交えているので理解し易い構成となっております。企業だけでなく、個人もビジョンを設定することが大切であることも理解できます。
企業がビジョンを設定することのメリット
- ビジョンは通常では考えられないほどの努力を引き出す
- ビジョンは戦略的、戦術的判断を下すコンテクスト(文脈)となる
- 共通のビジョンは一体感、チームワーク、共同体を生み出す
- ビジョンは企業がひとにぎりの中心人物に依存した状態から脱却する基盤となる
・コリンズ・ポラス式ビジョンのフレームワークでは次の3つの要素で構成される。
- コアバリューと理念
- パーパス(存在意義)
- ミッション
1.コアバリューと理念:絶対に遵守されるべき原則
会社の指針となる原則と信条の体系。事業と人生に関する哲学。
つくるものではなく、内側から生まれる。
2.パーパス:組織が存在する根本的理由
組織の行方を照らす星のように、常に努力すべき目標ではあるが、完全に達成されることはない。
個人にとっての生きる目的と同じ役割を果たす。生きる目的のある人は、生きがいのある仕事とは何かと思い悩むことがない。必ずしも他社との違いを示すものではない。
3.ミッション:大胆で説得力のある野心的目標
明確なゴールと具体的期限がある。達成されると、新たなミッションが設定される。
4つのタイプ①目標 ②共通の敵 ③ロールモデル ④内部改革
第5章 幸運は諦めない者に訪れる LUCK FAVORS THE PERSISTENT
ロッククライマーのトミー・コールドウェルが2801日かけて達成した偉業を参考にしながら、諦めずに取り組む大切さを伝えています。
その偉業を達成する途中で、筆者が失敗が続いているコールドウェルに対して挑戦をし続けている理由を尋ねると「僕は失敗しているんじゃない、成長しているんだ」と話したそうです。
成功というコインの裏面は失敗ではなく、成長だ
数多くの企業を調べて分かったことは、幸運な出来事はどの会社にも均一に発生しているが、幸運からより多くのリターンを得ていたそうだ。偉大なリーダーであるかどうかの5割近くは予想外の出来ごちにどう対処するかで決まる。
第6章 偉大な企業をつくるための「地図」 WHAT MAKES GREAT COMPANIES TICK-THE MAP
偉大な会社を動かす要因を<ザ・マップ>というフレームワークで説明しています。
インプットとして第1~4段階まであり、アウトプットとして3項目を挙げています。
まずは、インプットの第1~4段階を説明します。
第1段階:規律ある人材
●第5水準のリーダーシップの醸成
第5水準のリーダーシップとは、個人的な謙虚さと不屈の精神をもった人材であり、そのような人材を続々と輩出する仕組み
●最初に人を選び、その後に目標を選ぶ
次に何が起こるか予測できない状況では、何が起ころうとも適応し、最高の成果を出せる規律ある人材をバスいっぱいに確保しておくことが最善の「戦略」である
第2段階:規律ある思考
●ANDの才能を活かす
誤った二項対立で物事をとらえるのは、規律のない思考だ。「第一級の知性は、二つの対立する概念を同時に内包しつつ、それでもうまくやっていける能力によって測ることができる」
●厳しい現実を直視する(ストックデールの逆説)
ビジョンを設定する前に厳しい現実を直視する。真実に耳を傾けるような空気を社内に醸成する。真実に耳を傾けるような空気を社内に醸成する。
●ハリネズミの概念を明確にする。
物事を単純化し、あらゆる事柄を単一の原則にもとづいて考える。
①情熱をもって取り組めるもの ②自社が世界一になれる分野 ③経済的競争力を強化するものという3つの円が重なる部分をしっかりと理解することから生まれる、単純明快な自己認識だ。
第3段階:規律ある行動
●弾み車を回転させて勢いをつける
会社を取り巻く固有の環境において弾み車の勢いを高めていく方法を理解し、クリエイティビティと規律をもって実践すれば、戦略的効果が積み重なっていく。
●20マイル更新でブレイクスルーに到達する
広大な大陸を日々最低でも20マイル歩き続けることによって横断する。どのような悪天候でも、どれほど疲れていても、どれほど厳しい環境でも、行進を続ける。
●銃撃に続いて大砲発射
限られた弾薬をかき集めて巨大な大砲を撃つのではなく、わずかばかりの弾薬を使って銃を撃ち、一発ずつ標的のずれを合わせて、満を持して残りの弾薬をかき集め、制度を合わせて巨大な弾薬を発射すれば、敵艦を撃沈できる。
第4段階:永続する組織をつくる
●建設的パラノイアを実践する
最初のステップは「死なないこと」だ。失敗から学ぶことができるのは、その失敗を生き延びられた場合だけだ。
滅びていく「衰退の5段階」に足を踏み入れない。この5段階とは、⑴成功から生まれる傲慢 ⑵規律なき拡大路線 ⑶リスクと問題の否認 ⑷一発逆転策の追求 ⑸屈服と凡庸な企業への転落か消滅
会社が5段階のうち最初の3段階にあるあいだは、外から見るとまだ強靭に映る。だが、病魔に侵されている。
●時を告げるのではなく、時計をつくる
時計をつくる経営者は、再現可能なノウハウ、充実した研究プログラム、リーダーシップ開発の仕組み、コアバリューを徹底する具体的メカニズムを生み出す。
●基本理念を維持し、進歩を促す
山道を登っているあいだは目の前の上り坂に全神経とエネルギーを集中させる。だがひとたび頂上に到達したら、再び案内星(パーパス)に目を向け、次に上るべき山を選ばなければならない。
●10×型企業 運の利益率
「運に恵まれたこと」でなく、「恵まれた運をどう活かすか」だ。幸運な出来事からより多くのメリットを引き出せば、弾み車の勢いを大幅に高めることができる。
とんでもない不運によって偉大になりえた会社が潰れることはあっても、幸運によって普通の会社が偉大になりえることはあり得ない。永続する偉大な企業を作るのは運ではなく、人である。
アウトプットの3項目
●卓越した結果
社会的組織でパフォーマンスは、成果と社会的使命をどれだけ効率的に達成したかで決まる。選んだ分野で勝利する方法がわからないようでは、真に偉大な組織とは言えない。
●唯一無二のインパクト
万一その組織が消滅することがあれば、地球上のほかの組織では容易に埋められない空白が残る。
●永続性
あなたの組織があなたなしには偉大さを維持できないのなら、まだ真に偉大ではないのっだ。
偉大さは静的なゴールではなく、動的なプロセスだ。